賃金2

『賃金・退職手当等の支払時期』

 退職した労働者又は死亡した労働者の正当な遺産相続人から「賃金」の支払請求があった場合には、所定の賃金支払日にかかわらず請求日から7日以内に支払わなければならず、また、積立金、保証金、貯蓄金等、労働者の権利に属する金品についても同様に返還しなければなりません。
 また、「退職手当」については、あらかじめ定められた支払時期に支払うこととなりますが、支払時期を定めていない場合には、請求日から7日以内に支払わなければなりません。
 なお、支払の額などについて争いがある場合には、異議のない部分について請求日から7日以内に支払わなければなりません。
※特に「旅費積立金」や「親睦会費」等については、退職時に返還の有無について争いとなるケースが多いため、当該控除の目的や返還の有無等について規約で明確にするとともに、雇用契約を結ぶときには、必ず労働者に明示することが必要です。

『休業手当』

 使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日については、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。
 「使用者の責に帰すべき事由」とは、使用者の故意や過失又は信義則(民法第1条第2項)上これと同視すべき事由のほか、使用者の責任とはいえない経営上の障害も、天災事変などの不可抗力に該当しない限りこれに含まれます。
(1)使用者の責に帰すべき事由による休業の例(休業手当の支払いが必要な場合)
  ・資材の不足・事業場設備の欠陥等経営上の障害が原因で休業した場合
  ・親企業の経営難から下請工場が資材資金の獲得ができず休業した場合
  ・生産調整のため一時帰休をした場合
  ・新規学卒採用者の就労時期を繰り下げ、自宅待機とした場合等
(2)使用者の責に帰すべき事由に該当しない休業の例(休業手当の支払いが不要な場合)
  ・天災事変による休業
  ・正当なロックアウトによる休業
  ・一部労働者の争議行為の影響により、他の労働者が労務を提供し得なくなった際の休業等
※平均賃金の計算方法
 ・原則として当該事由が発生した日以前3ヶ月間に支払った賃金の総額をその期間の総日数(歴日数)                  
  で除すことにより求められます。
 ・賃金締切日があれば、当該事由の直近の賃金締切日から遡った3ヶ月間の賃金総額を歴日数で除すこ
  ととなります。

令和7年8月
社会保険労務士 佐藤正典

次回の記事掲載は、令和7年9月上旬頃を予定しておりますので是非ご覧になって下さい。

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