時間外、休日及び深夜の割増賃金

使用者は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

(1)法定割増率について
時間外労働
・月60時間以内 ~ 0,25
・月60時間超  ~ 0,5
休日労働
・法定休日労働 ~ 0,35
深夜労働(22時から翌日5時までの時間帯)
・深夜労働のみ ~ 0,25
・時間外労働かつ深夜労働(月60時間以内) ~ 0,5
・時間外労働かつ深夜労働(月60時間超)  ~ 0,75
・法定休日労働かつ深夜労働  ~ 0,6

(2)割増賃金の計算方法
割増賃金額=割増賃金算定基礎額×対象となる労働時間数×(1+割増率)
※割増賃金算定基礎額とは1時間当たりの賃金額です。
※対象となる労働時間数とは時間外労働、休日労働、または深夜労働の時間数です。
① 割増賃金算定基礎額とは、基本賃金と各種手当の合計月額を1か月の所定労働時間数で割った、1時間当たりの賃金額のことです。 ※賃金形態が全て月によって定められた賃金の場合
② 次の手当は、割増賃金算定基礎額から除外することができます。
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金  
※除外の可否は、手当の名称ではなく内容により判断します。
※上記の手当に該当しない手当は全て算入しなければなりません。

◎ 出来高給(歩合給)の場合
出来高給(歩合給)においても、「割増賃金は出来高給に込み」という取り扱いは出来ません。
出来高給とは別に割増部分を算出し、出来高給に加算して支払わなければなりません。
出来高給の割増部分=出来高給の総額を総労働時間数で除したもの×対象となる労働時間数(時間外労働、休日労働、または深夜労働の時間数)×割増率
上記の計算式により算出した割増部分を、元の出来高給に加えて支払うこととなります。
なお、出来高給とそれ以外の賃金が併給されている場合には、それぞれの割増賃金額を別々に算出し、その合計金額が割増賃金額となります。

(3)代替休暇
労働者に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合、60時間を超える部分について、割増賃金を支払う代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することが出来ます。
(代替休暇制度の要件)
代替休暇制度導入にあたっては、過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を締結することが必要です。
・労使協定で定める事項
① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
② 代替休暇の単位
③ 代替休暇を与えることができる期間
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
以上の4つがあります。
※この労使協定は事業場において代替休暇の制度を設けることを可能にするものであり、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではありません。
個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思により決定されます。
(代替休暇の時間数の算定方法)
代替休暇の時間数=(1か月の法定時間外労働時間数-60)× 換算率
換算率=代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率-代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率

令和6年9月
社会保険労務士 佐藤正典

次回の記事掲載は、9月17日頃を予定しておりますので是非ご覧になって下さい。

※上記掲載記事の件で詳細がお知りになりたい方や、労働問題でお悩みの企業様もしくは労働者(個人)の方は、北九州・福岡以外の地域でも構いませんので、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

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