年次有給休暇

『年次有給休暇の時間単位取得』
・企業規模にかかわらず、適用されます。

〇 年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得することができます。(下記の注1・注2)
〇 年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者が自由に選択することができます。(下記の注3)
〇 労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば、労使協定が締結されていない場合でも、半日単位で年次有給休暇を与えることは可能です。半日単位での取り扱いに変更はありません。

(注1)所定労働日数が少ないパートタイム労働者の方なども、事業場で労使協定を締結すれば、時間単位で取得できるようになります。
(注2)1日分の年次有給休暇に対応する時間数を所定労働時間数を基に労使協定で定めます。時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてから計算します。
(注3)例えば、労働者が日単位で取得することを希望した場合に、使用者が時間単位に変更することはできません。

『年5日の年次有給休暇の確実な取得(時季指定義務)』

年次有給休暇については、原則として労働者の自由な意思に基づき取得させる必要がありますが、平成30年7月の法改正により、平成31年4月以降は、年5日について使用者が時季を指定して労働者に取得させることが義務付けられています。但し、その対象となる労働者は、年10日以上の同休暇が付与される者に限られます。

~ 改正のポイント ~
① 対象者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限られます。
② 労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が時季を指定して与える必要があります。
③ 年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。また、労働者が自ら使用した年次有給休暇の日数は、使用者に時季指定義務がある5日間の有給休暇から控除することができます。
④ 使用者は時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
⑤ 使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、5年間(当分の間3年間)保存しなければなりません。

『年次有給休暇の時季指定に関する就業規則の定め』

労働基準法89条によると、休暇に関する事項は絶対的必要記載事項であるため、使用者が年5日について時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。

~ 改正のポイント ~
※半日単位の年次有給休暇の取扱い等
半日単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合については、改正労基法第39条第8項の年次有給休暇を与えた場合として取り扱って差し支えありません。また、労働者の意見を聴いた際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合は、使用者が改正労基法第39条第7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことも差し支えありません。
この場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は0,5日として取り扱うこととなります。
なお、時間単位の年次有給休暇については、使用者による時季指定の対象とはならず、労働者が自ら取得した場合にも、その時間分を5日から控除することはできません。

『年次有給休暇管理簿』

時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。(年次有給休暇管理簿は労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。また、必要なときにいつでも出力できる仕組とした上で、システム上で管理することも差し支えありません。)

令和6年7月
社会保険労務士 佐藤正典

次回の記事掲載は、8月19日頃を予定しておりますので是非ご覧になって下さい。

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