『採用・契約』
1労働条件の明示
(1)使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。なお、労働者が希望した場合には、ファクシミリの送信・電子メール等の送信による明示も認められます。
(2)明示しなければならない労働条件は次に示すものです。
(3)明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
(4)上記(3)の場合、就業の為に住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費等を負担しなければなりません。
「書面の交付による明示事項」
(1)労働契約の期間
(2)有期労働契約を更新する場合の基準
(3)就業の場所・従事する業務の内容
(4)始業・就業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
(5)賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
※短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口を文書の交付等により明示しなければなりません。
上記「書面の交付による明示事項」の(2)有期労働契約を更新する場合の基準には明示義務事項の追加があり、書面の交付義務となっています。
①契約期間の明示・期間の定めなし・期間の定めあり( 年 月 日 ~ 年 月 日)
②更新の基準の明示
(1)更新の有無の明示(具体例としては、自動的に更新する・更新する場合があり得る・契約の更新はしない など)
※有期労働契約の更新をしないことが明らかな場合は、更新の基準の明示義務はありません。
(2)更新の基準の明示(具体例としては、契約期間満了時の業務量により判断する・労働者の勤務成績、態度により判断する・労働者の能力により判断する・会社の経営状況により判断する・従事している業務の進捗状況により判断する など)
「口頭の明示でもよい事項」
(1)昇給に関する事項
(2)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払の時期に関する事項
(3)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
(4)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(5)安全・衛生に関する事項
(6)職業訓練に関する事項
(7)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(8)表彰、制裁に関する事項
(9)休職に関する事項
令和6年6月
社会保険労務士 佐藤正典
次回の記事掲載は、6月17日頃を予定しておりますので是非ご覧になって下さい。
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