パートタイム・有期雇用労働法について

パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇用する事業主は、パートタイム労働者・有期雇用労働者の働きや貢献に応じて、正社員との均等・均衡待遇を確保する必要があります。

(1)雇い入れの際、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」、「相談窓口」を文書の交付等により明示するとともに、実施する雇用管理の改善措置の内容を説明する必要があります。

(2)パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇について、正社員の待遇との相違は、職務内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものでない必要があります。
待遇の違いが不合理と認められるかどうかは、待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情(①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情)を考慮して判断されます。①、②、③の3つの要素の中から、待遇の性質・目的に照らして適切なものを考慮するというのが重要です。
待遇ごと:基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生施設、教育訓練、休暇など
その他の事情:職務の成果、能力、経験、事業主と労働組合との交渉の経緯など
短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(同一労働同一賃金ガイドライン)において、いかなる待遇差が不合理な者であり、いかなる待遇差が不合理なものでないのか原則となる考え方と具体例を示しています。

(3)正社員と働き方が同じパートタイム労働者・有期雇用労働者(職務内容が同一、人材活用の仕組みや運用等が雇用関係が終了するまでの全期間において同一)に対しては、すべての待遇について差別的取り扱いをすることが禁止されています。

(4)賃金(基本給、賞与、役付手当等)は、パートタイム労働者・有期雇用労働者の職務内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して決定するように努める必要があります。

(5)正社員と職務内容が同じパートタイム労働者・有期雇用労働者に対しては、職務の遂行に必要な教育訓練を、正社員と同様に実施する必要があります。それ以外の教育訓練についても、職務内容、成果、意欲、能力、経験などに応じて実施するように努める必要があります。

(6)福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用の機会をパートタイム労働者・有期雇用労働者に対しても与える必要があります。

(7)すべてのパートタイム労働者・有期雇用労働者に正社員に転換する機会を与えるべく、推進する措置を講じる必要があります。

(8)パートタイム労働者・有期雇用労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備する必要があります。

(9)紛争解決援助と調停
上記(1)~(3)及び(6)~(8)に関して、労使間で紛争となっている場合、都道府県労働局長による紛争解決援助制度や調停委員による調停を利用することができます。

 

令和7年5月
社会保険労務士 佐藤正典

次回の記事掲載は、令和7年6月1日頃を予定しておりますので是非ご覧になって下さい。

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